カテゴリ:考えること( 12 )

染み付いたもの


上司が嫌で

救急・集中治療からやめた


でも
自分の心に
自分の身体にしみついたものは落とせないでいる

あのドキドキから
あの修羅場から

自分が守ろうとしていた
ナースとしてのプライドに

実は自分は守られていたんだと思い知った。
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by somancyu | 2008-07-22 22:04 | 考えること

クリスマスの

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今日、久しぶりに小田和正が歌っているのを見た

何十年も前の話だけど・・・・
時に愛は という曲が入ったオフコースのアルバムを聞いて
涙を流した女性がいた
背が小さくて、勝気で、でもとっても可愛らしい女性だった
その時は感受性が強いんだなあと何気なく思った


ある 大雨の日 1つの傘で2人は歩いていた
私は別れたくないと言って
その傘をその女性に手渡した
大雨でよくわからなかったけど
たぶん彼女も泣いていた
その後2人は別々の道を歩みだした


今年のクリスマスの日だったと思う
この近辺にある一番高級なマンションの
前で信号待ちをしていた
中から、可愛い女の子の手を引いた
女性が歩み出て来た
私と目が合った気がした
ほんの少し微笑むとほんの少し会釈した
ずいぶんと変わったんだね

楽しそうに友達と歩いて行った
きっと幸せなんだな・・・・

私を愛してくれた女性にはみんな幸せになってもらいたい
天?からのささやかなクリスマスプレゼント
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by somancyu | 2006-12-29 02:11 | 考えること

死んでなお生きる

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数日前の夜、40代の女性が交通事故にて搬送された。
頭部の損傷がひどく、反応は0となった。

脳外科の部長から旦那さんに脳死の事実が告げられた。

泣き崩れたあと、上を向き直ると
優しい妻だったから、きっとあいつは誰かの役に立ちたいと言うと思うと
移植コーディネーターの書類にサインをした。


ある 静かな雨の夜 その白い綺麗な肌にメスが入れられた
娘さんのすすり泣く声が廊下にいつまでも響いていた。

角膜は近くの大学病院へ
腎臓は県立の総合病院へ
すい臓は京大へ

少しして、全ての移植手術は成功したとメールが来た。
受傷から亡くなるまでの時間が短かったのが移植予後には好転したのかもしれない。

頭部の出血の止血に奔走していた私の白衣は
まだらに赤く血に染まっていた。

死んでなお、人のためになるなら  なあ  と言った 旦那さんは
立ち上がろうとして私の血だらけの白衣に崩れ落ちてきた
ウオーンと3回 人目をはばからず泣いた。
すみません、看護師さん いえ私はいいんですよ 男のくせにみっともないね
そう言った目からは涙がいくつも流れ落ちていた。



私の父の実家は山形の山奥 数年前巨大魚タキタロウで一躍有名になったところ
数十年前までは普通に土葬がおこなわれていた。

今年、法事に行ったとき
あの世で生活するのにこまるからと日用品をそろえる祖母のうしろ姿を見た。

この地では死んでからは第二の世で新たな生活が始まると考えられている。
移植で例えば角膜を取るなんてことは100パーセント不可能だろう
それも文化だから・・・・


移植に使われる臓器
そのひとつひとつにはきっと本人と家族にいくつものドラマと憂いがあると思う
そんな尊いものを捨ててしまうなんて・・・・・・


何か気が晴れない私をよそに
富士は今日も同じ姿でそこにあった。
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by somancyu | 2006-10-14 20:24 | 考えること

世間は狭い


集中治療室のスタッフ間で、綺麗な女性がお父さんのお見舞いに来ると噂になっていた・・

いそがしく病院の廊下を歩いていると

待合室の椅子に座った女性にNAVIさんですよねと声をかけられた。

私    あ、はいそうです。
      振り返るとそこにその綺麗な女性が座っていた。

女性   以前にはとてもお世話になりました。

私    ・・・・

10年以上前に薬物中毒で瀕死の女性が運び込まれた。
その方は集中治療室で確か3日間混迷状態をさまよったあと、徐々に回復した。

血気にはやる私は長々と、生きたくても生きられない人がいるのになんてことをするんだと
説教をした。すると彼女にツバを吐きかけられてもみあいになった。

その後は怒る家族と、婦長のはざまで大変でした。
自業自得ですけど査問はとてもつらかった。


女性   お元気ですか、まだいたんですね

私     はい、元気だけがとりえですから。

女性   私ね、あれから変わったんですよ。
      もし良かったら、おにぎりをどうぞ 私が作ったんです。
      親戚のために作ったんですけど、来ないみたいなんで。
      
  あなたには家族皆がお世話になりますねと言っている。


ただの不良少女が女性は変わろうと思えば変われるんだなーと妙に思わされた。
あーなになに知り合いなの?と研修医の先生は大騒ぎをしていた。
隅におけないねーなんて皆、猜疑の眼差しを向けている。


心の中で何回も、私変わったんですよと言ってみた。
そんなこと鈍感な私にもよくわかりますよ。

いい塩梅で炊けた竹の子のおにぎりがそれをよくあらわしていた。
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by somancyu | 2006-05-07 22:17 | 考えること

雪の山小屋で



今年、奥多摩のある避難小屋へ泊まった。

雪景色が綺麗でそれで、楽しくてどんどん歩いて行った。
考えていたより遠くへ歩いて来てしまったなあ

薄暗くなるあたりを見ながらホルブスに火をつけた
いつものレトルトカレーだけどすごくおいしく感じられた。


風は止まって月明りに照らされた山肌はとても綺麗だった。
満ち足りた思いで寝袋にくるまった。


朝になると、それは底冷えがして寒かった。でも寂しいとは思わなかった。

ほどなく品の良さそうな、大きな望遠レンズをつけたカメラを携えた男の方が山小屋に入って
来られた。その朝日の眩しさに目を完全に覚ました。


おはようございます、すみません起こしてしまいましたねと言った。
いいえいいんです。もう起きないと。

また雪が降ったみたいですね。
ええとても寒かったですよ・・・・       そのあと少々の雑談を交わした


あ、ところで 
その男の方が言った。トイレですか?私が登って来たとき女の方が小屋から
丁度出て行かれましたが・・・・

私は、いいえこの避難小屋には私ひとりで泊まっていましたが・・・・と答えて
はっと我に返った

男の方も表情を曇らせた。


この夜はとても楽しい気持ちでこの避難小屋にいた。
この男の方がとても私をからかっているとは思えなかった。

あとでひろしに話すとその小屋よくそんな噂がたつとこだよと青い顔をしていた。


私は誰かといたのかもしれないし、ひとりだったのかもしれない。


足あとをと思ったけどしんしんと降る、ぼたん雪がすべてをかくしていた。


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by somancyu | 2006-04-27 00:28 | 考えること

アルプスにいだかれて

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昨日の深夜、安部奥の南アルプスの、ぼろっちい避難小屋で寝袋にくるまりながら、
いつものひろしと屋根から落ちる雨粒の音を聞いていた。

なんでこんな寒い日に来ちゃったんだろうなーと、ひろしはブツブツ言いながら
寸又峡という地酒をじゅるじゅるすすっている。


確かに登山道は雨模様だった・・・誰にも逢わなかった。
でも雨に濡れた山桜やコバルトを含んだ渓の水はますます
さくらいろとあおいろを増して綺麗にみえた。


いつも暗い山小屋で思うのは
自分の前で亡くなっていった患者さん達のこと

先週も自分の夜勤のときに3人が亡くなった。でもみんな安らかな顔をしていた・・・

20代のときに、不安だからと私に何度も抱きついたひとのことが
頭に浮かんでは消えた。膠原病だった。
そのひとの死に顔もとても綺麗だったな・・・

雨はよけいにその強さを増している、明日の温泉はきっと暖かいだろう。

新緑を吹いた木々はとても力強く菜種梅雨を受け止めていた。
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by somancyu | 2006-04-11 21:08 | 考えること

雨のなか・・・


雨のなか

車の中から 携帯電話で話しながら 歩く 女性の

うしろすがたを 何気なく見ていた


早歩きの 彼女の その歩みが

急に

ゆっくりになった その人にとって 重要な 話題に さしかかったのか?

そのあと 少し 立ち止まり また早足で歩き出した

わたしは 鉛色の空を少し見上げてみた


声を掛けようか 少し 悩んだけど

顔を見合わせる意義がみつからなくて・・・


そんな 別れだった

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by somancyu | 2005-10-05 23:16 | 考えること

プレゼント


私が今の救命センターに入職したときに

仕事を厳しく教えてもらった看護婦さんが心筋梗塞で入院した。

この看護婦さんはとても高山植物が好きで、
時々写真を撮りにいっしょに出かけたりしていた。

もういっしょに山に行くことはないのかもしれない。


そのあと この看護婦さんが現場に復帰したときに好きな
コマクサの写真をプレゼントした。

高山の雪もつくことができない、養分もない風の強い砂礫地で
種から花をつけるまで15年、盗掘の危機といくつもの試練に打ち勝たなければ
決して花をつけることはできない。

そんな姿が何かオーバーラップした。



八ヶ岳の根石岳で私が撮った写真です。

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今年もたくさん綺麗に咲いていた。


このメッセージは看護婦さんに届いたみたいです。

渡したときのあーという言葉が何か、はにかんでいた。
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by somancyu | 2005-07-30 22:12 | 考えること

風鈴

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   風鈴

暑い日が続いて

軒下に風鈴をつるしてみた 温度が下がったわけではないけど
少し心地よく 涼しくなったような気がした

不思議

自分も風鈴のように
なりたいと思った


ふと・・・
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by somancyu | 2005-07-11 22:00 | 考えること

リカバリ


大事にしていた、パソコンがトロイの木馬に侵されてフリーズした。

何一つバックアップを取っていなかった、あっぱれな私は

パソコンに入っていたすべてのデータとメルアドとデジカメの写真を失った。



看護学会の発表スライドも

透析患者の過去5年間の血液データも

幼なじみのメルアドも、ネットで知り合った素敵な人のメルアドも

ダイビングで撮ったロタ島の海がめの水中写真も

死んだあの人が好きだったキタダケソウの写真も

ひろしと行った南アルプスの歩行記録も

なにもかも

ひどく周りのひとに責められた




でも
でも  何故か 気持ちはそれほど沈んでいない


思い出はまた作っていけばいいかな データはまた集めればいいかな

嫌なこともいっしょにリカバリされたみたいで


むしろ、すごく爽やかな気持ちで 

いまここにいる
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by somancyu | 2005-06-29 14:01 | 考えること